南宇都宮
コガメコーヒー
オーナー 亀井良真さん(写真左)
設計 中村周さん(写真右)
自分たちで改修して作った癒しの空間
南宇都宮駅にほど近い、北口を出て明保野公園へ向かって徒歩2~3分の”コガメコーヒー”さんの建物。
素敵な優しい感じの外観。この建物、改修作業のほとんどをオーナーの亀井さんや建築家の中村さん、宇都宮大学建築科の学生さんらで行った。電気工事などの資格がないとできない作業のみはプロに任せたとのこと。
(素敵な雰囲気の店内)
室内の木材で出来た素敵なカウンターテーブル、イス、床(フローリング)は自作(ハンドメイド)のものだそうで、作るのには苦労も?あったそう。壁も協力しあってペンキで塗装した。(後述)
元々はお蕎麦屋さん、カフェを経た物件を改修
元々はお蕎麦屋さんだったというこの建物。その後、別オーナーさんのカフェになった後を改修したもの。
オーナーである亀井さんが2013年にカフェをやろうと物件を探しているときに、とあるイベントでこちらのお店だったカフェに訪れ、前オーナーに直接会ったことでこの物件を借りられることになった。
賃貸でも改修していい確認を大家さんにとり、改修を計画しはじめる。
建築家の中村周さんとの出会い
亀井さんがお店をどう改修するか模索していたある日、宇都宮市は釜川に立ち寄る。
当時釜川沿いに”KAMAGAWA POCKET”という、中村周さんを代表とする宇都宮大学建築科の学生さん達が自らと地域に関わる人の力を借りて古い物件を改修(リフォーム・リノベーション)し、完成させるという活動を行っていた。
そこの改修作業の手伝いに参加した亀井さんが代表の中村周さんと出会い、自身のコガメコーヒーの改修を依頼したんだそう。
(建物の改修後もより良い空間にするため良く相談しているというお二人)
二人はオーナーと建築家として良好に関係を築いていて、亀井さんは「こだわりはあるけど、自分のエゴが出ないように中村さんと相談しながら決めていけるのが良いです。コンセプトが子亀なので、これからも改善していってさらに良い空間へとじっくり日々成長していければいいと思ってるんです。」と話す。
中村さんの方も、「設計して改修して終わりではなく、お店がオープンした後もさらに亀井さんと相談しながらコガメコーヒーの空間を良くするために考えたり、関わらせていただけるのでありがたいですし、幸せな環境です。」と話してくれた。
室内の様子
手作りのカウンターテーブルとイスについて設計の中村さん、「”童心に帰ってほっこりのんびりできる”といったコンセプトから、一般的な高さよりもかなり低く作りました。またテーブルとイスが低いことで室内全体が広く感じるようにもなっています。」
カウンターテーブル
お手製のカウンターテーブルは、店内全体が単調にならないように全てが違う幅になるように斜めにカットされており、どこにも長方形や正方形がない形になっている。亀井さんと中村さんの二人は口を揃えて、「カウンターのヤスリがけとかコーナー部分の複数の板を合わせるところとか、ほんと大変でみんなですごく苦労したというか、時間をかけましたね。」と話す。
イス
また、開店当初は無かったピッタリ合ったクッションも、最近になって中村さんがデザインし作成した。(2016年3月頃)
このイスも学生さんら皆で協力してひとつひとつ作っていったもの。(画像はコガメコーヒーのサイトより拝借)
床
床について、亀井さんが腰壁(テーブルの下までの壁)はカラフルにしたいという希望を持っていた。中村さんと相談して腰壁だけカラフルにするとバランスをとるのが難しいと判断して、思い切って床と一体のデザインにした。
床材をヒノキにした理由は、亀井さんのコーヒーと木の香りがするお店にしたいという要望も持っていたので香りの良いヒノキにすると決めたそう。木材は知り合いの木材屋さんから訳あり材を安く譲ってもらい、建築学部の学生みんなで機械で削りだして綺麗な木材に加工するところから行ったとのとこ。
4~5種類の色に塗った板を貼っていった。「それぞれの床板の色も、これも試行錯誤して色を何度か変えて実際の雰囲気に合う色を最終的に選びました。うるさくなりすぎないように。最初はこの他に緑っぽいものも混ざっていたんですが全体のバランスがしっくりこなかったので、素材のままの色も混ぜることにしました。」と中村さん。
壁・天井
天井と壁は同様に綺麗に白ペンキで塗装されている。これも自身らで塗ったもの。
壁は昔のままを残して費用を抑えることにして、テーブルから下に予算をかけることに、はっきりと力をいれるところを分けたという。テーブルより上の壁は元からある表情を残したままペンキを塗るだけにして仕上げた。
天井は改修前の予定では天窓を付けてトップライトで光を採り入れる計画だったが、構造上の問題や費用などの点から取りやめることにした。中村さん「代わりにそこに天窓風に空けたスペースに照明をいれることで木漏れ日のような光が落ちるようにしました。」
(天窓風の場所に使うのガラス製の照明は鹿沼のガラス細工職人さんに特注した品)
(照明についてガラス職人さんと相談する中村さん)
(照明の点灯時のアップ画像)
この照明のガラス表面が自然に波打った形状をしているので、心地良い波状の光が店内を照らしている。オーナーの亀井さん曰く、「夜になると分かりやすいんですが、適度に光が湾曲して水中にいるような感じで心地良いんです。」
窓(サッシ)・照明・小物
窓枠は場所によって、以前からあったものを綺麗にしてそのまま使用したり、新調しているとのこと。入り口などは木枠のものだが新しいものを業者さんに作ってもらったそう。
各席ごとにある照明はシンプルなものを採用してお店の雰囲気を壊さないようにしているとのこと。
また、店内には素敵なその季節の植物や花があり、こちらは近所の花屋さんにお願いしているそう。
店内にはお店のストーリー本が置いてあり、この建物に関わった建築学科の皆さんの名前が記されている。
外観の様子
お店正面の外壁にはスギ板を使用。「お店の正面ということで目の綺麗な上質なスギを選びました。なので結果的にここは予算をかけた箇所でもあります。」と中村さん。
外の入り口を入ると中庭があって、すぐ右側には店内に入るドアがあります。取材時の3月では少し寒いので利用は少ないとのことですが、暖かい季節にはこの中庭でくつろげるようになっています。緑やお花も心地よい空間を演出しています。
編集後記
この建物の特徴は何と言っても、オーナーの亀井さんと設計担当の中村さん、建築科の学生さんたちのチームワークよって出来たものだというところでしょう。お二人が相互に良い関係を建物の改修後も築けていて、これからもさらに良いものに仕上げていく感じがとても良いです。
今後もキッチンや、店の裏側の駐車場の方も手を加えていく予定とのこと。
また何系、何風ともいえないスタイルも魅力的です。
改修作業の大部分を自分たちの手で行うことによって費用をなるべく抑えている点も参考にしたいところです。お店の改修費用は公表していないのでこちらに書けませんが、勇気をもって亀井さんに聞けば教えてくれるかも(笑)
コガメコーヒーさんの情報
宇都宮 のんびり癒しのカフェ コガメコーヒー
場所:〒320-0838 栃木県宇都宮市吉野2丁目5−8
電話:028-688-0334
URL:https://www.facebook.com/kogamecoffee/
項目内容 | |
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建物状態 | 賃貸、改修(リフォーム・リノベーション) |
設計 | 中村 周さん |
施工 | 自身らによる(電気・ガスなどはプロに依頼) |
外壁 | スギ、塗装 |
屋根 | – |
内壁 | 塗装 |
床 | ヒノキ |
建坪 | – |
改修費用 | – |
関連リンク
・KAMAGAWA POCKET(中村周さん)
・コガメコーヒー の解体 1(KAMAGAWA POCKET)
・コガメコーヒー の解体2(KAMAGAWA POCKET)
・808 GLASS (特注の照明用のガラスを作ったガラス工房さん)
・ffHK 花亀(店内のお花、植物)
・株式会社 松井木材市場(床材・床材の加工・運搬)